COLORS-カラーズ-
伝承
はるか昔、大地が天の監獄であった頃、ある女神(シャンフー)が気まぐれに降りて来た。
女神はここで囚人(レンライ)と出会い、互いに一目で恋に落ちてしまった。二人が繋いだ手から子が生まれ、これは蒼家(セイカ)の民となった。次に二人は愛を語り、その言葉から子が生まれ、これは犀天(サイテン)の民となった。それから二人は口付けを贈り合い、残った痕から子が生まれ、これは流海(ルカイ)の民となった。
やがて女神が天に帰るとき、皆ひどく悲しんだ。女神と囚人の流した涙が合わさって子が生まれ、これは楊先(ヨウセン)の民となった。楊先の民は針を持ったまま生まれたので、受け止めた女神の指が傷つき、流れた血から子が生まれた。これは珠惹(シジャク)の民となった。
そういう風に世界の民が生まれた。愛から生まれた。傷から生まれた珠惹の民もまた、生まれながら愛の涙にまみれていた。
女神が消えたのち、蒼家の民は西へ、犀天の民は東へ、流海の民は北と南へ、楊先の民は中にとどまり、珠惹の民は各地へ散った。子はいつでも天に昇り、母に会うことができた。囚人は罪を負っていたため命の枷を履いており、天には昇れなかったが、いずれ死せば天に帰ることが許されていた。
しかし、天は女神を汚したと、囚人が共にあるのを許さなかった。天は囚人に永劫の命を与え、半分が女神から作られた子には限りある命を与えた。というのも天は囚人を永久に女神から引き離そうとし、子には死してからの機会を与えてやったのである。中でも珠惹の民は女神の分身であると、生きてなお女神に会えるようにしてやった。ゆえに珠惹の民が大地で一番天に近く、歌や踊りを通じていつでも女神に逢えるのである。
────『伝承/世界の始まりについての記憶』より
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